「スタート前に艇がうろうろしているのは何をしているの?」
「実況の『カド』『前づけ』が分からないまま見ている」
進入は、競艇でいちばん独特で、いちばん結果を左右する時間です。
先に結論をお伝えします。
進入とは、スタートまでにどのコースを走るかを艇どうしで主張しあって決める攻防のこと。枠番どおりに決まる「枠なり進入」が大半ですが、そこが崩れた瞬間にレースの前提はまるごと変わります。
この記事では、進入まわりの用語を公式の定義でひとつずつ押さえたうえで、予想の材料としてどう使うかまで整理します。
競艇の進入とは?まず結論


進入とは、スタートまでのあいだに走るコースを決める攻防のことです。
公式は進入を、「狙っているコースを獲得するために主張しあい、スタートコースを確定させること」と説明しています(出典:BOAT RACE公式 スタート展示/進入)。
ここで大事なのは、枠番(艇番)とコースは別物だということです。
1号艇が必ず1コースを走るわけではありません。
枠番は抽選や番組で決まった「持ち番号」、コースは進入の結果として決まった「実際に走る位置」です。


この2つを混同したまま出走表を見ると、予想の前提そのものがずれます。
枠なり進入と前づけ|隊形が動くとき、動かないとき


進入には、大きく分けて2つの形があります。
枠なり進入は、1号艇が1コース、2号艇が2コース……と、枠番どおりの並びでスタートする形です。
実際のレースは、この枠なりが大半を占めます。
前づけは、外側の枠の艇が内側のコースを取りにいく動きです。
6号艇が2コースに入る、といったことが起きます。
前づけをする艇があると、押し出された艇は外へ回されます。
つまり1艇の動きで、6艇ぶんの前提が書き換わるわけです。


また、内寄りのコースを複数の艇が主張しあうと、スタートラインまでの助走距離が短くなります。
公式はこれを俗に「深イン」と呼び、この場合はダッシュ勢が有利になる場合も多いと説明しています(出典:BOAT RACE公式 スタート展示/進入)。
インを取れたのに有利とはかぎらない、というのが進入の難しいところです。
「どうせ枠なりばかりなら見なくていいのでは」と思われるかもしれません。
ですが、前づけが起きるレースこそ配当が跳ねます。
見ておく価値があるのは、まさにその例外のほうです。
スロースタートとダッシュスタート|助走距離という決定的な差


進入が決まると、次は「どこから助走をつけるか」が決まります。
ここも公式に明確な定義があります。
| 種類 | 助走距離 | 主なコース | 整備の傾向 |
|---|---|---|---|
| スロースタート | スタートラインから150m以内 | おおむね1〜3コース | 出足型 |
| ダッシュスタート | スタートラインから200mまたはそれ以上 | おおむね4〜6コース | 伸び型 |
出典:BOAT RACE公式 スロースタート/ダッシュスタート


公式は、1〜2コースはほぼ100%スロースタートになるとも書いています。
助走距離が短ければ、スタート時点のスピードは出ません。
そのかわり内側の最短距離を回れます。
助走距離が長ければ、スピードに乗った状態でスタートラインを通過できます。
そのかわり外を回らされます。
「近いが遅い内」と「遠いが速い外」のトレードオフ、これが競艇の骨格です。
スタートは「定時定点」で合わせている
ではレーサーは、この助走をどう管理しているのでしょうか。
公式は定時定点という考え方を挙げています。
定められた時間に、定められた場所を、定められた速度で通過してタイミングを合わせる、という考え方です。
一般的な目安として、200m地点を残り10秒、150m地点を残り8秒、100m地点を残り6秒で通過すると公式は説明しています(出典:BOAT RACE公式 定時定点)。
スタートが「勘」ではなく計算で行われていることが分かります。
「カド」はなぜ注目されるのか


進入の話で必ず出てくるのがカドです。
公式の定義はこうです。
助走距離を長くとり、ダッシュスタートをする艇の最内の艇をカドといいます。
そして公式自身が、カドは最初にまくりや、まくり差しを放つことの多い有利なポジションであり、ここが何コースで誰が取るかも予想の重要な材料だと書いています(出典:BOAT RACE公式 スタート展示/進入)。


枠なり進入なら、カドは4コースです。
この「4コース=カド」という位置づけは、当編集部の集計にも表れています。
全24場のデータでは、4コースが1着になったときの決まり手は、まくりが47.3%でもっとも多くなっていました。
外から一気に攻める形が、実際に数字として出ているということです。
※数値はBOAT RACE公式「ボートレース場データ」に掲載の各場「最近3ヶ月のデータ」を、当編集部が全24場ぶん集計した平均値です(取得日:2026年8月5日)。期間や季節によって変動するため、最新の数値は公式でご確認ください。
前づけがあってカドの位置がずれると、この攻撃役が別の艇に移ります。
「カドが誰か」を確認するだけでも、レースの見え方は変わります。
深イン・ピンロクなど、進入まわりの用語


進入の話には、独特の言葉がいくつも出てきます。
実況や予想記事で迷わないよう、公式の用語辞典に載っているものを整理します。
| 用語 | 公式の説明 |
|---|---|
| 枠なり進入 | 待機行動で内から「123456」と枠番どおりに進入した状態 |
| 枠主張 | 待機行動で前づけ艇を許さず、枠番どおりのコースを守り抜くこと |
| 前づけ | 外枠の艇が大きく回り込んでほかの艇の前につけ、インコースを取ろうとする戦法 |
| 深イン | 前づけ艇などの影響で助走距離が短くなった状態。短くなるほど不利とされる |
| カド | いったん後ろに引いて助走し、ダッシュスタートする艇のうち一番内側の艇 |
| 進入隊形 | コース取りを終えた全艇のスタートコースとスタート方法 |
言葉が分かると、進入の実況がそのまま予想の情報になります。
「3対3」という数字の読み方
進入隊形は、数字2つで表現されることがあります。
公式は、通常「3:3」などと、前者の数字をスロースタート、後者の数字をダッシュスタートとして数字で表現すると説明しています。
つまり「3対3」なら、スロー3艇・ダッシュ3艇という意味です。
枠なり進入なら、この形になります。
「4対2」なら内寄りに4艇が構え、ダッシュは2艇だけ。
この場合カドは5コースになります。
全艇がスロースタートになるケースはオールスローと呼ばれます。
進入固定競走という例外


すべてのレースで進入の駆け引きがあるわけではありません。
進入固定競走という、あらかじめ枠なり進入と決められたレースがあります。
公式の定義は、1号艇から6号艇までが枠番どおりにスタートコースに進入することを義務づけられているレースです。
この場合、前づけは行われません。
艇番とコースが一致するため、出走表がそのまま予想の前提として使えます。
そして公式は、進入固定競走かどうかは、出走表や新聞記事などにあらかじめ明記されているとしています(出典:BOAT RACE公式 用語辞典)。
「今日は前づけがある番組かどうか」を先に確認しておくと、予想の組み立てが変わります。
なお当サイトでは、レースの格や節の進み方については競艇のグレード(SG・G1・G2・G3・一般戦)の記事で扱っています。
進入を予想にどう活かすか


最後に、進入を実際の予想に落とし込む手順を整理します。
①スタート展示で隊形を確認する
進入が実際にどうなるかは、スタート展示を見るのがいちばん確実です。
展示の見方そのものは競艇の展示航走の記事で詳しく扱っています。
②枠なりかどうかを判定する
枠なりなら、出走表の艇番をそのままコースとして読めます。
崩れているなら、コースを読み替えてから予想し直す必要があります。
③カドの位置と、その選手の力量を見る
カドが強い選手なら、内が飲み込まれる展開を想定します。
④コース別の傾向と重ねる
全24場の平均では、コース別の1着率は1コース55.2%/2コース13.9%/3コース13.4%/4コース10.4%/5コース6.0%/6コース1.9%でした。
この分布のうえに、その日の進入を重ねるのが進入予想です。
※数値はBOAT RACE公式「ボートレース場データ」に掲載の各場「最近3ヶ月のデータ」を、当編集部が全24場ぶん集計した平均値です(取得日:2026年8月5日)。期間や季節によって変動するため、最新の数値は公式でご確認ください。
ただし、ここまでの数字はあくまで傾向です。
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競艇の仕組みや見方が分かってくると、次に迷うのが「予想の情報をどう選ぶか」だと思います。
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よくある質問
Q. 競艇の「進入」とは何ですか?
スタートまでに、どのコースを走るかを艇どうしで主張しあって決める攻防のことです。BOAT RACE公式は「狙っているコースを獲得するために主張しあい、スタートコースを確定させること」と定義しています。
Q. 枠番とコースは同じものですか?
違います。枠番(艇番)は番組で決まった持ち番号、コースは進入の結果として実際に走る位置です。多くのレースは枠なり進入で一致しますが、前づけがあるとずれます。
Q. 前づけとは何ですか?
外側の枠の艇が、内側のコースを取りにいく動きのことです。前づけがあると押し出された艇が外へ回るため、レース全体の前提が変わります。
Q. カドとはどの艇のことですか?
ダッシュスタートをする艇のうち、いちばん内側の艇です。枠なり進入なら4コースがカドになります。公式も「まくりやまくり差しを放つことの多い有利なポジション」と説明しています。
Q. スロースタートとダッシュスタートの違いは?
助走距離の違いです。公式によると、スロースタートはスタートラインから150m以内、ダッシュスタートは200mまたはそれ以上の地点から助走をつけます。
Q. 進入はどこで確認できますか?
スタート展示で確認できます。本番前に実際の進入とスタートを再現する航走なので、隊形が枠なりかどうかはここで判断するのが確実です。
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